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西宮市の内科|いしづかクリニック-膠原病|皮膚筋炎・多発性筋炎

膠原病
皮膚筋炎・多発性筋炎
いしづかクリニックHOME膠原病【皮膚筋炎・多発性筋炎】

多発性筋炎・皮膚筋炎は筋肉の炎症により、
筋肉に力が入りにくくなったり、疲れやすくなったり、痛んだりする病気です。

皮膚筋炎・多発性筋炎とは

多発性筋炎・皮膚筋炎は筋肉の炎症により、筋肉に力が入りにくくなったり、疲れやすくなったり、痛んだりする病気です。

また、手指の関節背側の表面ががさがさとして盛り上がった紅斑(ゴットロン丘疹)肘関節や膝関節外側のがさがさした紅斑(ゴットロン徴候)上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な皮膚症状がある場合は、皮膚筋炎と呼ばれます。

多発筋炎/皮膚筋炎は、筋炎を中心に、皮膚症状、関節炎、間質性肺炎などを併発し、多彩な病像を呈しますが、すべての症状が起こるわけではなく、患者さん一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の種類や程度が異なります。

筋肉の症状すらない、皮膚症状だけのひともいます。

疫学と頻度

膠原病のなかで、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスに次ぐ患者さんの数と考えられています。

2009年度の厚生労働省特定疾患治療研究事業における臨床調査個人票を解析してみたところ、受給者総数は、17,000名と推定されました。すなわちこれが我が国の患者さんの数となります。

1991年の全国疫学調査では、年間推計受療患者数は、約6,000名とされていましたので急速に増えています。この数年でも、毎年1000~2000人の方が新規に発症しています。

原因

多発性気炎・皮膚筋炎では、筋肉や皮膚などを、免疫力が攻撃しているのが原因です。

自己免疫は、いわば、軍隊の「友軍攻撃」ですが、なぜ、そのようなことがおきるのかは明らかではありません。

生まれ持った体質に微生物感染などの外からの出来事が加わって発症するものと考えられています。

男女比と発症年齢

他の膠原病と同様に、女性の患者さんが多いことがわかっています。

我が国の統計では男女比は、1:3です。

発症年齢は、15歳以下が3%60歳以上25%で、中年発症が最も多いようです。一般には、小児期(5~14歳)も小さなピークがあり2峰性分布を示すと言われますが、近年の小児医療助成制度の普及に伴い、特定疾患治療研究事業の医療費公費負担に申請する小児が減っているためか、臨床個人調査票による統計では小児のピークは明らかではありませんでした。しかし、小児期では皮膚筋炎が多発性筋炎よりも多く、症状も特徴的であることが多く、小児の多発性筋炎・皮膚筋炎は成人とは少し違った病因を伴って発症しているものと思われます。

皮膚筋炎・多発性筋炎男女比、発症年齢円グラフ

 

症状

全身の症状

倦怠感、疲労感、食欲不振があります。稀ながら発熱をきたすこともあります。筋肉の症状がほとんどの患者さんにみられ、皮膚筋炎では皮膚症状があります。それ以外の症状も認めることがあります。しかし、それらは全ての患者さんに起こるわけではなく、患者さん一人一人で症状は少しずつ異なります。なお、筋症状は殆どなく、皮膚症状だけの患者さんもいらっしゃり、無筋炎性皮膚筋炎とも呼ばれます。

筋症状

徐々に現れるので、通常は症状の出た日を特定できません。筋力の低下は、身体(胴)に近い筋肉に現れやすく、腕の筋力低下により、髪の手入れをしたり、洗濯物を干したりする時や高い所に物を上げる際に腕が上げづらい、太ももの筋力低下により、階段を昇るのが困難、座った姿勢から立ち上がりにくいなどの症状がでます。

首の筋力の低下により、頭が枕から持ち上げにくくなります。さらに、喉の筋力が低下して、食べ物が飲み込みにくくなったり、むせたり、またしゃべりにくくなったりします。食べたものが間違って気管に入りやすくなり、その結果、肺炎を繰り返すこともあります。

ごく稀に、心臓の筋肉も傷害され、その場合、不整脈や心不全症状を起こすことがあります。

皮膚症状

皮膚筋炎では皮膚症状が出ますが、目立つのは顔の紅い皮疹です。むくみを伴った紅い皮疹が眼瞼に現れ、ヘリオトロープ疹と呼ばれます。他に、鼻唇溝、頭皮などにも紅斑が現れ、脂漏部位と呼ばれる部位であることから、脂漏性皮膚炎と誤った診断を受けていることもあります。

手指関節の外側に表面がかさかさして盛り上がった紅斑も皮膚筋炎に特徴的で、ゴットロン丘疹と呼ばれます。肘、膝関節の外側にも盛り上がりはないものの同じような紅斑が現れ、これらはゴットロン徴候と総称されます。その他、首から胸にかけてや、肩から上背部にかけての紅斑がでると、それぞれV徴候、ショール徴候と呼ばれます。これらの皮疹はかゆみを伴うことが多く、初めはかゆみだけで始まる方もいます。

その他の症状

皮膚症状と筋症状以外では、他の膠原病でも現れる症状を伴うことが多くあります。まずは、関節症状(痛み、腫れ)があります。このため、多発性筋炎・皮膚筋炎はリウマチ性疾患という大きな範疇に含まれます。

しかし、関節リウマチと違って腫れが長期間続いたり、関節が壊れるようなことは殆どありません。寒くなると手指や足趾が白く冷たくなるレイノー現象もよくあります。しかし、強皮症と違って尖端に潰瘍ができたりすることも殆どありません。

合併しやすい病気のうち特に注意しなくてはならないのは間質性肺炎と悪性腫瘍です。間質性肺炎は普通の肺炎と異なり、細菌やウイルスなどが原因ではなく、前述の自己免疫が患者さん自身の肺を攻撃する場合に起こります。特に喉の痛みや痰などがないのに頑固に咳が出たり、運動時の息切れなどの症状となります。

特に、筋炎症状は乏しいのに皮膚症状が強い皮膚筋炎に合併する場合は、急速に間質性肺炎が進行する場合がありますので、出来るだけ早く治療しなくてはなりません。

悪性腫瘍(癌など)は、特に皮膚筋炎で合併しやすいものです。多発性筋炎・皮膚筋炎を発症し、治療してから、見つかることもありますので、治療開始時とその後2年間は癌の有無をよく調べる必要があります。

診断

本邦では1992年に厚労省自己免疫疾患調査研究班により、PM/DMの診断基準が提唱・改定されている。

現在は、これらを用いることが多いが、本診断基準のみでは、他の筋疾患などを完全に除外することは困難であり、新たな分類基準の作成も検討されている。

皮膚筋炎・多発性筋炎の診断基準項目

治療

基本となるのは、ステロイドによる薬物治療ですが、ステロイド単独では治療が難しい場合や、ステロイドの使用量を減らしたい場合には、シクロホスファミドやアザチオプリン、タクロリムス、メトトレキサート、シクロスポリンのような免疫抑制薬、および免疫グロブリン静注療法が併用されることもあります。

筋力低下の進行を防ぐための、治療開始早期からのリハビリテーションも重要です。

皮疹に対しては、遮光および外用薬が用いられます。

急速進行性の間質性肺炎を合併する場合は、強力な治療が病初期から必要とされます。 診断や治療の進歩によって、以前に比べると予後は改善されましたが、非常に難治な患者さんもいまだにめずらしくはありません。また、感染症や骨壊死・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などの治療に関連した合併症の適切なコントロールが重要となってきています。

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