結節性多発動脈炎は、中型から小型の血管の動脈壁に炎症を生じる疾患です。
動脈は血管の太さから、大型、中型、小型、毛細血管に分類されます。
結節性多発動脈炎は、この内の中型から小型の血管の動脈壁に炎症を生じる疾患です。動脈は全身の諸臓器に分布していますので、腎臓、腸、脳、心臓、皮膚など多彩な臓器に症状を呈します。
正確な患者数はわかっていません。
年間新規発症患者数は全国で50人程度、全国の患者数は250人程度と推定されます。
肝炎ウイルスや他のウイルス感染の後に発症する方もいらっしゃいますが、多くの患者さんでは原因は不明です。
発症する年齢は40~60歳に多く、平均年齢は55歳です。
男女比は3:1で男性に多いです。
発症しやすい素因などについてははっきりわかっていません。
38℃以上の高熱、体重減少、筋肉痛・関節痛、四肢のしびれ、皮膚潰瘍、尿蛋白や尿潜血陽性、腎機能悪化、腹痛・下血、脳出血・脳梗塞、高血圧など様々な症状がおきます。特に重篤な症状としては、腎不全、腸出血、脳出血・脳梗塞などがあります。
基本的には経口のステロイド薬の服用により治療しますが、その量は重要な臓器障害(心臓・腎臓・消化器など)があるかどうかにより変わります。またこのような重要な臓器障害がある場合には、ステロイド薬だけでは治療に十分ではなく、免疫抑制剤と呼ばれる薬を併用しないと病気の勢いを十分に抑えられないことがしばしばみられます。
当初使われる免疫抑制剤としてはシクロフォスファミドがよく使われます。 また一旦病気の勢いが抑えられたあとそれを維持するための治療法としても、やはりステロイド薬と免疫抑制剤が使われますが、その場合の免疫抑制剤としてはアザチオプリンやメソトレキサートが使われることがあります。
これらの治療でも十分抑えられない重症の患者さんに、生物学的製剤が試験的に使われることもあります。