高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、
重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする
原因不明の血管炎です。
高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、
重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする
原因不明の血管炎です。
高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、血管が狭窄したり閉塞したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎です。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでます。
わが国の「高安右人教授」が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。
かつて大動脈炎症候群とも言われましたが、病変は大動脈以外の全身に生ずることがあるため、現在は高安動脈炎と呼んでいます。
2011年度調査では、患者は全国で5829例でした。
全体からみた数は少ないものの、症状が多彩で非特異的な所見が多い疾患であることから未診断例が多く、実際の症例数はさらに多いと思われる。
本邦においてはHLA-B52、HLA-B39、HLA-B遺伝子の近傍にあるMICA-1.2遺伝子などとの関連が報告されている。特にHLA-B52陽性患者ではB52陰性例と比較して有意に強い血管炎を生じる傾向があり、大動脈弁閉鎖不全症を合併する割合も高いことが明らかになっている。
高安動脈炎の患者さんの9割は女性です。
研究班の報告では15歳~35歳の若い女性の方に発症することが多いようです。
最近は男性の発症数が増えているという報告があります。
数は少ないのですが、10歳未満で発症する場合もあります。
原因は残念ながらよくわかっておりません。
しかし、なんらかの感染を契機にして発症し、血管の炎症が持続しているのではないかと推論されています。
高安動脈炎の初期は、発熱や全身倦怠感、食欲不振、体重減少などの感冒のようなはっきりしない症状から始まることが多いようです。
その後、炎症によって血管が狭搾や閉塞、あるいは拡張してきて、頭部を栄養する血管が障害を受けた場合は、めまいや立ちくらみ、失神発作や、ひどい場合には脳梗塞を起こす場合もあります。
難聴や耳鳴、歯痛、頸部痛もよく見られる症状です。
また、上肢を栄養する血管が障害を受けると、腕が疲れやすい、脈がふれない、など多様な症状が出現します。
また高安動脈炎の約3分の1の患者さんでは心臓の大動脈弁付近に障害を生じて弁膜症を発症し、程度によってはその後心臓の働きに問題が生じることがあります。また、腎臓の血管が障害されて、腎臓の働きが低下することもあります。さらに、下肢を栄養する血管が障害を受けて歩行が困難になる方もいます。血管が障害されるため、高血圧症はよく見られる症状です。
まず、高安動脈炎による炎症を抑えることが基本になります。
通常、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用います。
また、血栓ができるのを予防するお薬を使います。
炎症が強く、なかなかステロイドが減らせない場合は、免疫抑制薬を使うこともありますが、副作用がありえますので、主治医と十分な相談の上使用することになります。
炎症が治まった後は、症状に応じてさまざまなお薬を使いますが、血管のつまりが強くて日常生活に大きく差し支える場合は、炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手術をすることがあります。研究班の統計では約2割のかたが手術を受けておられます。
大部分のかたはステロイドなどのお薬で炎症を鎮静化させることができます。
現在は様々な画像診断や治療の進歩もあり、高安動脈炎の予後はとても良くなったと思います。ただ、高血圧、心臓の弁膜症、腎臓障害などの合併症を生じた方の中には厳重な管理が必要になる場合があります。
約7割の方に再燃がみられるので、定期的に受診いただいた方が良いです。また、若い女性の方に多い病気なのですが、妊娠、出産を契機に高安動脈炎が再燃することもまれですがあります。