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西宮市の内科|石塚ファミリークリニック-院長ブログ|29 支えあいながら生きていこう

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当クリニック院長 石塚俊二が医療を中心に情報発信
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29 支えあいながら生きていこう

診療をしながら年末に気がついたことをご紹介しようと思う。
年末になるとたびたびご高齢の定期受診の患者さんたちから「今年も元気で暮らせてありがとう」や「この年まで生きてこられたのも先生が支えてくれているから」と感謝の言葉を言われることが多いことから気がついたことがある。
これを気がついたことにはいくつかの要因がある。
一つは当院も19年目となり開院以来通院していただいている患者さんの多くも高齢となり毎年、年老いていく体の不調も多くなり病気に向き合っている不安が年々増している故の感謝の表れからのもの。
もう一つは現在でも猛威を振るう新型コロナウイルス感染症で重篤化していかれる方の存在などの社会背景から感じる健康への心配や不安が常に高齢者の方にはより強く感じて生活されている為に一年間健康であったことに対する自身の安堵からの医師への気持ちであると思う。

 

不安な表情の高齢者のイラスト

私自身も一般外来、感染症外来、在宅医療、腎臓・膠原病専門外来など多岐に渡り診療をしているが、中でもこの3年間、感染症外来は早期の診断、治療および合併症の有無の把握が必要とされる。
この対象が基礎疾患をもつ高齢者となると診断、治療に非常に神経質となり正直、心身共に疲弊することも多くそれが今でも続いている。
不謹慎と言われるかもしれないがこれまで、患者さんのこのような言葉は少し社交辞令のようなご挨拶と感じることもあり(社交辞令でも十分嬉しいが)そのまますべてを受け取れないときもあったがこのコロナ渦からは少し気持ちも変わってきていた。
コロナ渦、戦争、物価高、円高など何一つ希望が持てないような今の日本や世界情勢にいて人々は不安、心配と失望に渦巻いて生きている人も多いと思う。
当院の患者さんもそうした不安の中でも自分の病気に一生懸命に対峙して健康で生き生きと生活したいと思うがこそ、それを何とか達成された一年間であったことに対する気持ちが年末の挨拶の言葉に含まれていると思う。だからこそ、僕もその言葉はいつもより強く感謝と嬉しさで幸せな瞬間を感じることができる。互いに支え合いお互いを必要としていることを毎年強く感じるようになってきている。

 

先日、コロナ感染症で入院されていたご高齢の患者さんが退院をされたので往診に伺った。
いつも元気に通院されていたのだが長い治療を経て自宅に戻ってこられた。認知症の奥さんと2人で生活していていつも奥さんの食事を作っていた。奥さんのことが心配でなんとコロナ療養期間中に病院に無理を言って帰ってきたのだ。
少しやせた感じがしたが比較的お元気そうで安心をした。往診日がちょうど90歳の誕生日だったので「おじいちゃん、コロナが悪化しなくてほんとうに良かったね。今日は誕生日でしょう。これなら目標の100歳まで大丈夫だね。おめでとう。」と伝えると照れ笑いしていたが、隣の奥さんが大きな声で「先生がいるから安心や、なあ」と会話に参加され3人で退院祝いと誕生日と2重の祝いで大いに盛り上がった。喜んでいる表情の高齢者のイメージイラスト
その後の徒歩での帰宅は心が充実して幸福感で満たされていた。僕が患者さんの誕生日を祝いたかったのだが、患者さんから大きなギフトをもらった気持ちになった。大げさかもしれないが、医師冥利につきる。

 

人が人として在り続ける限り、決して一人では生きていくことはできない。医療においても誰かを必要として、誰かに必要とされることで生かされていると思う。
コロナ渦でのこの3年間は強くそのことを感じながら診療に携わっているような気がする。だからこそ、大きなことはできないが目の前の患者さんが病気を通じて感じている不安、心配などを懸命に感じることが医師としての使命であり、そして、すべてを解決できないかもしれないが一緒に想い、寄り添うことで患者さんの少しでも救いになれば、医師の幸せも感じられるのだと思う。
まだまだ、世界を取り巻く環境は生きづらい局面も多く今年も医療は右往左往させられるかもしれないが、人という不完全な小さな存在だからこそ、小さなクリニックでも寄り添いながら生きていくのだということ強く心に思い今年も乗り切っていきたい。

 

令和5年1月:石塚ファミリークリニック 
院長 石塚 俊二

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