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46 ダークホース

ダークホースという言葉を知っていますか。

僕はこの言葉をなんとなく好きでかっこよくも感じています。
もともとは競馬の用語です。予想外の活躍をしそうな馬のことである。それが転じて“あまり知られていないが競争に勝ち、まわりを驚かせる者”“自分についてあまり周囲に語らないが驚くべき資質や能力を持っている者”を表すようになっています。
ダークホースイメージイラスト1この言葉を我々は実生活や環境においても実感したり、自身が経験したりすることもあると思います。
例えばスポーツだと、プロ野球やサッカーのJリーグでもまさか優勝するとは思えず、プロの解説者でも全く予想もしていないチームが優勝し、オリンピックでも評判にない選手が金メダルを取ることも稀にあります。

仕事においても一番若い研修医の先生がカンファレンスで突然、素晴らしい治療案を提言し、教授を含め他の先生もそれに納得し、その治療が実践され奏功したことを私自身が経験したこともあります。では、本命ではなく番狂わせを生む“穴場”的な人たちはどのようにその考えや行動に至ったのだろうと思います。
それは実際、このような人々は“既存のルートではなく、型破りのルートでその実力を発揮した”のだと僕は思います。

 

通常、この社会において、どんな分野でも成功するためには、明確な目標を設定し、毎日懸命に取り組み、いかなる障壁に直面しようとも努力して、目標に到達するまでは自身の考えた道を外れるなというのが、王道の成功戦略です。
しかし、変化が激しく正解がない現代社会はもはやその戦略だけでは通用しないように思います。正解がないこれからの時代においては“ダークホース”たちの巡ってきたキャリアこそがスタンダード、つまり“ダークホース”こそが本命になってくるかもしれないと思います。
“ダークホース”的な考えはごく一部、特別な考えや運に恵まれた人にしか当てはまらないと思うかもしれませんが、そうでないことも証明されています。

 

ハーバード大学の研究チームの論文によると“ダークホース”と呼ばれる人たちのやり方には誰にでも真似ができる再現性があることを説明しています。“ダークホース”の人たちに共通しているのは“充足感の追求”でると述べています。
一般的に、充足感は目標を達成しての見返りであり、成功を目指して努力を重ねれば、いずれ充足感を得ると考えられていましたし、そう考える人は多いかもしれません。しかし、それは“ダークホース”の人たちの考えは逆でした。

“今”“自分自身にとってかげがえのないものに熱心に取り組むこと”で充足感を得ているということがわかってきました。
つまり、あくまでも充足感を追い求め続けた結果、成功に到達していたということです。
結果を見据えて、目標に向かって準備していくのではなく、今、必要なものを求め実践し、その結果が成功につながっているとも言えます。

 

ダークホースイメージイラスト2では“充足感”を得るためにはどうすればいいのでしょうか。
そのうちの1つは、自分の中の小さなモチベーションを見つけることが良いと思います。大きな情熱ではなく小さなモチベーションでよいと思います。
他の人には理解されないような偏った好み、欲求、関心ごとでも構わず小さなモチベーションをたくさん見つけておくとそれをいつか活かすことができる機会に恵まれることがあります。そしてその複数の小さなモチベーションは充足感を大きくしてそれらのことを集中して続けられるのだと思う。
変化に富む現代社会において1つの考え方ややり方で生きていくのは困難であるし、続かないように思います。

 

今回のブログを書く前にニュースを見ていたら、ソフトバンクの孫正義さんが日本はなぜIT分野で先進国でありながらこの開発に大きく立ち遅れたかを述べていました。
それはその昔、IT産業の初期にその重要性をいくら日本の名だたる企業や政府に訴えても取り入れようとはしなかったことが原因で、日本人の自分の考えや方法と違うことの受け入れの悪さを指摘されていました。また、医療分野でもAIを利用した診断、治療の開発が必要となってきていますが、それには病院がもつ情報の開示や共有が必要であり、すでにアメリカでは癌患者の半数のデータが利用できるシステムが開発され、もうアメリカ企業の約200社が開発しているそうです。
しかし、一方、日本では13の病院のデータの集約に過ぎず、開発は数社にとどまると説明しており、日本はもう少し新しい事や、新しい考え方に柔軟に対応する必要があると力説されていました。
我々は、今後も猛スピードでテクノロジーが発展し、飢餓や貧困、戦争も併存し、これから益々多様な価値観の時代に生きていくことになると思う。そのような中で人が人として生きていくのに必要なのは、成功にむけてではなく自身の充足感を求める生き方が必要で、そしてそれを許容する人々の心の柔軟性も持ち合わせいかなくてはならないのではと思います。

 

令和6年6月:いしづかクリニック 
院長 石塚 俊二

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