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当クリニック院長 石塚俊二が医療を中心に情報発信
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47 スイッチ

“スイッチ”という言葉には複数の意味があるが、その一つに“切り替える”という意味があります。
皆さんは、日常生活の中で悩んだり、息詰まったりしたときにどのように対処していますか。

かつては“やり抜く”ことが重視されていました。仕事にしても高い目標をもつスポーツ選手でもなにがなんでもやり抜くことが、その道の最善の方法であり、時には美徳ともされていた面があると思います。
しかし、世の中が複雑化し、予測不能となった現在、生きていく上で“切り替える力”が必要になってきていると言われています。つまり、目標達成や幸福度を劇的に高めるのは“切り替える力”つまり“スイッチ・クラフト”だとわかってきています。

 

スイッチ・クラフトのイメージイラスト人生とは選択の連続で、その選択が“正しい”か“間違っている”かに二分されることはめったにありません。
これまでの自分の人生を振り返っても、自分がくだした判断が正しかったのかを確信はもてないだろうと思います。
目の前に多くの道が伸びていて、あとになってから“あれでよかったのだ”と思うことはあっても、これが“正しい”選択しだと明確にわかるわけではない。私自身もこれまで医師生活が大阪から始まり、東京、静岡、埼玉を経て米国へ行き、再び東京、そして西宮と各地を転々としたが、はたしてこれが人生の最善で最高の選択であったかは、私自身わからないし、他人もわからないのが事実である。
試験には正解と不正解があるが、日常生活で直面する問題は別物だ。“正しくない”解決策もあるだろうし“複数”の解決策もあるだろう。しかし、この“確信できない状態”を受け入れて生きていかなければ、人は簡単に挫折してしまいます。
世の中とは先が読めないものでありそれに慣れなければ生きてはいけないと思う。この複雑で予測不能な世界を生き抜くための重要な考え方が“切り替える力”を身に着けると生きやすくなることに気づくと思います。
“切り替える力”には4本の柱があり、それぞれが重要な役割を担っています。

 

  • 1. すばやく柔軟に対応する:思考、感情、行動を機敏に切り替える。
  • 2. 自分を知る:内面を見つめ“核となる価値観”や能力を把握する。
  • 3. 感情への気づき:自己認識の一部で、自分の感情を受け入れる。
  • 4. 状況をつかむ:周囲の状況を把握し、外の正解にも目を向ける。状況を深い直観レベル で把握する 。

 

4本の柱に支えられた「切り替える力」は人生の航海に必要な方位磁針のようなものでもあり、そしてまた生涯を通じて学び、伸ばしていくスキルでもあると思う。


治療方針説明のイメージ医療においてもこの“切り替える力”は重要である。
日々の日常の診察においても患者さんに診断や治療方針について説明するが、自分が予想していた反応と違う場面に出くわした時には、まさに“スイッチ・クラフト”が必要である。自分がどのような方向から説明を切り出し、患者さんの感情をできるだけ広く推し量り、その状況を知り、別の切り口にて柔軟に対応し説明していくことになる。人間には変化や不確実なことを受け入れ、適応する能力がある。適応力は高められると思う。
医師はそのことを十分に認識して、時には患者さんの“スイッチ・クラフト”を導いていかなければならないと思う。
病気を持つ患者は常に不安に付きまとわれることも多い。
脳が不安にとらわれたままでは的確な治療を受け入れることも難しいと思う。どんな状況でも“スイッチ・クラフト”を用いてすばやく柔軟に対応できるように医師のサポートが必要であると思う。
この導きは医師のみができることでそこに医療の本質もあるように思う。将来この導きも、AIやChat GPTができるようになれば、もう私の次元では正解がわからなくなりますが・・・。医療でも人の生き方においても“切り替える力”は誰にでも備わっていると思います。

まず、直観にしたがって心を開けば、自分には生き方を選ぶ自由があると気づくと思う。
例えば、失敗したら運が悪かったと思うだけで良いと思う。仕事で失敗したら、次に生かそうでも良い。
柔軟で率直な思考の切り替えを持ち、次に思い浮かぶ考えに沿って行動すれば、別の世界が開けてくると思う。
“こだわる”ことばかりにとらわれないで“切り替える”心と次をワクワクしながら待つ期待感をもって行動したいと思っています。

 

令和6年7月:いしづかクリニック 
院長 石塚 俊二

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